着丈ももう4回目になるが次回で締めくくれそうだ。
前回は布帛のトップス(ブラウス)の着丈寸法からハンガーイラストを導いた。
ではその他のアイテムであるスカート、ワンピース、パンツ、カットソーはどうだろうか。
■スカート
計測位置に関して<1,着丈について①>で書き記したのでそれらをベースに進める。
絵を描くというだけであればスカートは前回アップロードしたベースボディのデータを使用してillustratorデータ内①のスケールを使えば問題なく進められるであろう。
CBで計測していたトップスに対してスカートはCFでの計測だ。
トップス、スカートで計測位置が前後するのはなぜかというのは私個人の考えではあるがトップスのCB、スカートのCFはそれぞれ人体サイズの増減による影響を受けにくいからではないだろうか。
もし本来の起源をご存じの方がいらっしゃったらこっそり教えていただきたい。
下記添付画像は基本的なハイウエストAライン1本ダーツ着丈58㎝のスカートだ。

■ワンピース
トップスとボトムスが合わさっているワンピースはウエスト位置で計測を前後させるのだろうか。
勿論そんなことはしない。BNP~裾までトップス同様にCBで計測するのでベースボディのデータを使用して①のスケールを使えば問題なくイメージ通りの寸法で絵が描ける。
ただワンピースは衿ぐりが大きく開いているものが多く指示書では「設定着丈」と「実寸着丈」に分けて記載するととても親切だ。
時間がなく二つも書けないといった場合でも「着丈」とだけ記すのではなく「設定着丈」とするだけでパターン作成側がとても進めやすい。
なぜこのようになっているかというとそれぞれの寸法を必要とする状況が違うからだ。
設定着丈はコーディネイト検討の時に、実寸着丈は検品検寸の時に必要になる。
下記添付画像は基本的なノースリーブノーカラーバストダーツのウエストマークフィットアンドフレア設定着丈95㎝のワンピースだ。

■パンツ
パンツは脇丈、股上、股下だ。
腰回りがカーブしているので厳密にはカーブにスケールを沿わせて指示寸法を出すのが理想だが直線で考えても大きくは問題ないだろう。
注意したいのは股上の設定だ。
股ぐりと違い股上は2次元的に考えて良いのでベースボディが使える。
股上の深さでパンツとしての役割が大きく変わるので慎重に設定したい。
下記添付画像は基本的なハイウエストストレート1本タック股下68㎝のパンツだ。

尚、パンツとスカートの丈は長さによる名称があるので次回のテーマにしたい。
■カットソー
カットソーはSNP(サイドネックポイント以下NP)~裾までを計測する身丈を主に使う。
ベースボディを使いハンガーイラストを描く場合は注意が必要だ。
BNPと違いNP~は3次元的な考えが必要となる。
どういう事か以下の説明を見ていただきたい。(下記階段の説明は考え方なので飛ばし読みしても問題はない)
例えば以下の様な階段に身長171㎝の人が立っているとして、階段は下から上まで直線で何㎝だろうか。

171㎝の人の丁度かかと~頭頂までと階段の下から上までが同寸に見えるので階段は直線で171㎝だろうか。
答えはいいえである。
2次元的に、つまり平面で考えた場合はもちろん正解なのだが階段は踏面(足が接地する面)がありこれが奥行としてZ軸が存在する。(X軸は階段の横幅方向なので今回は使わない)

つまり平面で171㎝として見えるものが実際には(三次元的には)283㎝あるということだ。
この考えをベースボディに戻した時にNP~バストラインでも同様に奥行、つまりZ軸が発生している。

布はバストラインより下へ真っすぐ落ちるのでNP~バストライン+バストライン~裾=身丈
として考えたら概ね指示寸法とハンガーイラストの誤差が無くなる。
カットソーはNPから計測している都合上天巾により身丈寸法が前後する。
下図は天巾15㎝時とNP~SP(ショルダーポイント)の丁度中間の天巾26㎝時で作成した。

とは言え毎回このように考える必要も無く慣れてきたら感覚で進められるが上がってきた製品が思ったより短いといった結果が続くようであれば一度立ち返ってみても良いかと思う。
下記添付画像は基本的な身丈51㎝のカットソーだ。

■まとめ
今回使用したスカート、ワンピース、パンツ、カットソーのハンガーイラストは以下のリンクでDLできる。
何かの参考になれば幸いだ。
実際の現場ではカットソーで説明したような方法でハンガーイラストを描いている人はまずいないと思われる。
基本的には過去実績や参考サンプルから寸法を参考にしつつ仕上がりのイメージとしてハンガーイラストを描く。
この流れで問題なく製品が上がるのだが、もしゼロから絵を描く時に何か基準になる考えが必要になった場合は是非この考え方を参考にして欲しい。
前述の通りスカートとパンツは丈によって呼称が細分化されているので最後となる次回のテーマとする。
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